トピックスバックナンバー@タカエージェント京都
10月分

白紙委任状 引渡し 物上保証人 文化財保護 法定地上権 保存登記 買換資産 家屋名寄帳 課税最低限
基礎控除 給与所得控除 公定歩合(政策) 国際収支 固定資産税 書面の交付義 善管注意義務 占有権 自己金融
デノミネーション 登録免許税 都市計画税 不動産所得 総合課税 必要経費 分離課税
平成12年10月2日
白紙委任状
委任には書面は必要でないが、通常委任状を作成する。そのうち委任の相手方の名前や委任する内容等を委任状に記載しないで、白紙のままその補充を相手方と他の一定の者に任せ、委任関係を確立しようとする委任状を「白紙委任状」という。当然補充を任せられた者がその白地部分を補充してはじめて委任状としての効力、ひいては委任内容の効力が発生する。白紙委任状は、通常売買や賃貸借等の不動産取引、契約引渡しの際や金銭の貸し借りの公正証書の作成等の際にしばしば使われることが多いが、その白紙委任状を安易に信頼し、法的紛争に巻き込まれたり、また白紙委任状を発行したことにより、自己または第三者に損害が発生しないよう、十分留意し代理権の意思範囲を本人及び白紙委任状の保持者に確認する必要があり、また発行する場合には委任内容を記載して交付することが必要である。

平成12年10月3日
引渡し
売主や貸主が占有していた物件を買主または借主の占有を移すことをいう。引渡しには、現実に物件を引き渡す「現実の引渡し」だけでなく、例えば買主が借りている土地を買うような場合のようにその意思表示だけでできる占有改定やまた他人に貸している土地をその状態のまま売買し、その借主に買主のために占有することを指示し、買主がこれを承諾する「指図による引渡し」がある。当事者間の契約によって物件の引渡し方法をあらかじめ具体的に明示することが必要である。また危険負担の分担、公租公課の負担割合の基準として、担保責任等の始期として引渡しの時期を約定することがあるので、注意を要する。宅建業法にも引渡しの重要性にかんがみ不当遅延の禁止や契約上の引渡し時期の明示を規定している。

平成12年10月4日
物上保証人
他人の債務を担保するために、自分の所有する財産の上に抵当権を設定するというように自分の所有財産を他人の債務に供する事を物上保証という。これをした者を物上保証人というが、通常の保証人と違う点は、@債務を負わないことA単に担保に提供した財産に対して担保権が実行されることをもって免責される点である。従って債権者は、担保物件によって弁済をえられなかった債務の残りを弁済するよう求めることはもとより、債務自体について履行の請求などは当然できない。しかし物上保証人は担保権の実行や債務者に代わって弁済したときは保証人と同様の求償権を取得するし、また債務が消滅すれば物上保証人としての立場も消滅する。

平成12年10月5日
文化財保護法
文化財の保護およびその活用により、国民の文化的向上、世界文化の進歩に貢献することを目的として定められた法律である。文化財保護のため各種の規制が定められており、不動産取引においても、事前に対象物件もしくは地域が本法の適用を受けるか否かの確認を行う必要がある。重要文化財、史跡名勝天然記念物(貝塚、古墳等)について譲渡、現状の変更などを行う場合には文化庁長官の許可が、また伝統的建造物群保存地区における現状変更については市区町村教育委員会の許可が必要であり、その他各地方公共団体が条例により定めた文化財に関しても制限が加えられている。これらの地域に該当すると開発行為、建築工事等に着手するまでに調査等に相当の期間を要したり、許可が得られない等買主に不測の損害を与えることもあるので、特に古くから文化、歴史のある地区については、事前に都道府県または市区町村の教育委員会に問い合わせ、確認をすることが必要である。

平成12年10月6日
法定地上権
抵当権を実行するときに、法律上当然発生する地上権を法定地上権という。本来設定当時に各々別個の所有者に土地と建物が属していれば当然土地に対して建物所有者が何等かの利用権を設定していたであろうということに着目し、さもないと建物は土地利用の権限を失い最悪の場合取り壊しをする等との観点から建物の存続維持を図り社会経済上の損失を防ごうというのがこの制度の趣旨であり、土地・建物が各々独立別個の不動産であり、かつ自己のための地上権賃借権を認めないわが国の法律に起因するものである。判例は土地建物が設定後譲渡した場合や双方抵当に入れた場合や強制競売にもその適用性を認めているが、設定抵当時更地の場合には認めていない。またその設定範囲は必ずしも全敷地ではなく、また地代等は当事者の請求によって、裁判所が認めるとされている。

平成12年10月7日
保存登記
通常、未登記不動産について、初めてする所有権の登記のことをいう(不動産登記法第100条以下参照)。所有権の保存登記は、その後の権利に関する登記の基礎となるもので、原則として登記簿の表題部に所有者として記載された者等の申請によってなされる。ただし登記官の職権によって行われる場合もある。また区分建物については表題部に記載された所有者から直接所有権を取得した者が所有権保存の登記を申請できるとされている。通常保存登記には、対抗要件としてされるものではないが、不動産を継承取得した者が行う場合には、対抗要件としての効力をもつ。

平成12年10月10日
買換資産
設備更新による産業設備の合理化、工場移転による産業立地の改善等、企業基盤の強化拡充および企業資本の有効利用を図るため、個人または法人が事業用資産(たな卸資産や有価証券を除く)を譲渡し、その対価によって新たに事業用資産を取得し、その者の事業に用いた場合には、譲渡取得または譲渡益の課税の繰り延べが認められている。この場合の取得資産を買換資産という。なお、収用等に伴い代替資産(A資産が収用等の対象となり、その補償金でA資産と同種のB資産を取得した場合の資産)を取得したときも同様の取り扱いとなる。こうした特例の適用を受けるためには、確定申告所に所定の明細書を添付することが必要とされている。

平成12年10月11日
家屋名寄帳
固定資産課税台帳に基づき、同一の納税義務者の所有する家屋についてのさまざまな登録事項をまとめて記載した帳簿をいう。自治省令の定めるところにより、この帳簿には、家屋番号、床面積、価格、家屋の状況および所有権の移動状況等が記載されている。なお、家屋名寄帳は当該市町村役場の徴税課や税務事務所に備えられているが、一般には公示されない。

平成12年10月12日
課税最低限
所得税、住民税等において課税されることになる最低限度額、つまり各種の控除を行ったあと、ちょうど課税標準がゼロになる水準をいう。所得税では、基礎控除、配偶者控除、扶養控除(以上をあわせて人的控除ともいう)および一定の社会保険料控除が含まれるので、納税者の家族構成などによって課税最低限は異なってくる。なお、給与所得者の場合には、上記の諸控除の合計額に、給与所得控除を加えた額で示される。課税最低限が設定された背景には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と第25条に謳われた憲法上の規定があり、したがってこれを少しでも侵害するようなことがあっては、かえって公共の福祉に反するということになる。このように、負担が重いか否かを端的に示す指標の一つである課税最低限は、税制改正等の場合、常に論議の的となっている。

平成12年10月13日
基礎控除
所得控除の1類型で、税額を計算する際に一定金額を一律に課税標準から控除することをいう。医療費控除等その他の所得控除の適用を受ける場合には、その確認の手続きを添付書類などを必要とするが、基礎控除はそれらを要せず、すべての納税者に平等に認められるものである。これは基礎控除が、納税義務者本人および家族の最低生活を維持するのに必要な費用を保障するという性格を有しているためと解されている。こうした基礎控除は上記の所得税のほか住民税、相続税、贈与税、事業税(事業主控除)、料理飲食等消費税においても認められている。

平成12年10月14日
給与所得控除
所得税法上の所得金額は、一般に収入金額から必要経費や収入を得るために支出した金額を控除して計算するのが原則であるが、給与所得の場合には、そうした経費や金額を個別的、具体的かつ数値的にとらえて控除することはおよそ不可能なため、標準的かつ概算的に一定額を控除することが認められている。この控除を給与所得控除という。給与所得控除は、上記の必要経費の概算控除という意味のほか、給与所得が利子・配当所得や事業所得などと比較して担税力が低いこと、他の所得に比べて把握率が高いこと、他の申告所得と比較して平均約5ヶ月早期に所得税を納付していること等に基づく調整という意味をも有している。

平成12年10月16日
公定歩合(政策)
日本銀行が市中銀行へ手形を割り引いたり貸付を行う際の金利をいう。この金利は市中銀行やその他の金融機関が企業や家計、政府などへ貸付を行う場合および預金の金利決定のベースとなる。公定歩合には、@商業手形割引歩合と国債または特に指定する債権を担保とする貸付利子歩合、Aそれ以外の債権を担保とする貸付利子歩合、B期限付輸出手形割引歩合、C輸出前貸手形利子歩合、D輸出前貸手形を担保とする貸付利子歩合があるが、通常、公定歩合というときは@の商業手形割引歩合を指すことが多い。公定歩合の変更は、直接的には市中銀行の日本銀行からの借入金利に影響を与えるが、更に市中銀行に貸出金利やコール・レートに影響を与えることによって資金の需給調整を行うことができる。このように、経済活動全般に影響を及ぼす公定歩合政策は、金融政策の伝統的かつ重要な手段である。

平成12年10月17日
国際収支
一国が、通常1ヶ年に行ったすべての対外経済取引を体系的に記録した物が国際収支表であり、その収支尻が国際収支である。したがって、国際収支は国際取引の貨幣的側面に着目し、あくまでも通常1年間のフローを問題としたものであって、一定時点における対外的な債務債権の残高つまりストックを測定する国際貸借とは異なっている。国際収支の内容は、経営勘定と資本勘定に大別される。前者には商品輸出入、海運・保険・観光等のサービスの移転、送金などの一方的支払いが入り、後者には長期・短期資本移動、金の移動が含まれる。仮に国民所得(=消費+投資+輸出と海外からの所得−輸入と海外への所得)が国民支出を超えれば、国際収支は黒字であり、その逆であれば赤字となる。

平成12年10月18日
固定資産税
土地、および償却資産の価格に対して課される地方税であり、一般には市町村(大規模の償却遺産については道府県を含む)が、毎年1月1日現在に固定資産の所有者として課税台帳に登録された者を納税義務者とし、固定資産の価格を課税標準として課するものである。税率はその評価価格の1.4%を標準とし、最高2.1%を超えることはできないとされている。固定資産税は、固定資産の所有に担税力を見出して課される財産税の性格を有している。また本税は、その税収入額の市町村住民税とともに市町村収入の根幹をなす税目となっている。課税除外とされるのは、国、地方公共団体、等の所有物件、あるいは公共性、公益性の強い物件である。

平成12年10月19日
書面の交付義務
希望通りの物件を購入できたと喜んだもののの、引渡しの時に、契約した時の条件が違うというケースが時々見受けられるが、これらは契約内容が不明確であったために起こるトラブルである。このような事態を防止するため、成立した契約内容のうち主要なものについて書面化することにより、契約内容を明確にし、契約当事者間に注意を喚起させる目的で、書面の交付義務が、宅建主任者に課せられている(宅建業法第37条)。通常は、売買契約時に、法第37条書面として処理している場合が多い。

平成12年10月20日
善管注意義務
(善良なる管理者の注意義務)

義務なくして他人の為に物または事務を管理する立場になった場合の注意義務であり、その職業・地位にあるものとして通常要求される程度の注意をもって管理し、その事務の性質に従って最も本人の利益に適する方法で処理しなければならない。しかも本人の意思を知り得べき場合には、本人の意思に従って行動しなければならない。しかし基本的には本人との間に契約関係はなく過大な責任迄は負う訳にはいかず、従って緊急の場合はその危険が現実に存したと否とにかかわらず悪意・重過失の場合にのみ責任を負うことになる。

平成12年10月21日
占有権
自己のためにする意思をもって物を現実に支配(保持)することによって占有権は取得される。民法が占有権を一つの物件として規定しているのは、占有が他人によって侵害された場合にその侵害者に対してその侵害を排除することを請求する権利=占有特権によって保護されているかぎりの占有者の地位をという場合と考えられる。広い意味では、占有を法律要件として生ずる各種の法律効果をもたらす地位を占有権と呼ぶ。例えば取得時効、動産の即時取得、動産の物件変動の要件、留置権、質権、賃貸借の成立、借家権対抗要件等には、占有または、その移転としての引渡しという事実の存在が重要である

平成12年10月23日
自己金融
企業が利益の保留、減価償却計算による減価償却基金、引当金等の名目で利益を社内に積み立てて、投資基金として利用することをいう。これは企業の必要資金を外部資金(株式・社債発行および借入金等により外部から調達された資金)に依存しないで内部で充足するため、内部金融とも言われている。わが国では高度経済成長期において、自己金融による資金調達が借入金による調達とならんで顕著であった。すなわち税法上の規定で短縮された耐用年数、特別償却の利用、また退職給与引当金、貸倒引当金などの利用によって利益を費用化し、自己資金を創出したのである。こうした自己金融による利益の内部留保は、企業支配の対象となる資本を拡大させることによって、企業支配を一層深化させることになる。

平成12年10月24日
デノミネーション
貨幣単位の呼称を引き下げることをいう。例えば旧1000円を新1円にし、旧10000円を新10円と呼ぶことをいう。デノミは通常、インフレの後始末として行われるが、その主要目的は@計算上の便宜性、A貨幣単位が大きすぎることから生じる不安定感の払拭、B外国為替相場が何桁もの自国通貨で表示されることから生じる国際信用の下落からの回避等にある。デノミの特色は、呼称変更が通貨、為替相場、商品価格、賃金、貨幣債権債務などすべての貨幣計算にいっせいに適用されるため、価値関係に何ら変化をもたらさないことにある。デノミは第一次大戦および第二次大戦後、超インフレを起こした国々(ソ連、ドイツ等)で実施された。

平成12年10月25日
登録免許税
登録免許税法に掲げる登記、登録、特許、免許、許可、指定および技能証明等を受けることから生じる利益に着目し課税する国税である。これは財産権の創設・移転あるいは人的資格の取得、事業開始の背後にある利益をとらえて課税しようとするものであり、流通税の一種とみなされている。納税義務者は上記の登記等を受ける者で、当該登記等を受ける者が2人以上の場合には連帯して納税義務を負うことになる。登録免許税は、納付すべき税額を確定するのに特別な手続きを必要とせず、その納付税額の確認も登記機関が行うことになっている。なお納税地は、登記等の事務をつかさどる登記所等の所在地で、その納付期限は原則として登記等を受ける時である。

平成12年10月26日
都市計画税
都市計画法に基づいて行う都市計画事業または土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用にあてるため、これらの事業によって利益を受ける区域内の土地および家屋に対し、その価格を課税標準として土地および家屋の所有者に課税する市町村の目的税である。税率は、市町村の条例により定められるが、現在100分の3を超えることができない。また、賦課期日、課税客体、納税義務者、課税標準、納税、徴収方法等すべて固定資産税と同様で、同税にあわせて賦課徴収される。都市計画税が最初に創設されたのは大正8年であったが、その後昭和25年に現行の地方税法が制定されるに伴いそれまでの都市計画税は水利地益税に吸収された。そして昭和31年の地方税法の改正により都市計画税は目的税として復活し、数次の改正を経て現在に至っている。

平成12年10月27日
不動産所得
現行の所得税法は、所得をその源泉ないし性質によって10種類に分類し、その態様に応じた課税方法を定めているが、その中の一つが不動産所得である。不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶または航空機の貸付(地上権あるいは永小作権の設定のほか、他人に不動産等を使用させることを含む)から生じる所得をいう。不動産所得の金額は、その年の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額である。なお、不動産所得に対する課税は、利子所得および配当所得とともに資産所得の合算という形を取って課税が行われる。また、青色申告を行うこともできる。その場合には、不動産所得の金額の計算上、青色申告控除が認められている。

平成12年10月28日
総合課税
各個人に帰属する全ての所得を合算して一個の所得金額とし、そこから各種の控除を行った後これに対して累積税率で課税する方法を言う。分離課税に対応するものである。総合課税が行われる場合には、例えば600万円の所得者は300万円の所得者の2倍をはるかに越える税負担となる。それが担税力の大小に応じた公平な課税とされる所以であるが、中には所得の性格上、総合することによって過重負担となるケースがあり、現行のもとではこれらは別扱いとされ分離課税となっている。住民税も所得税の場合と同じく基本的には総合課税が行われるが、所得税において特別措置が取られている利子所得、配当所得に付いては、若干異なった方法が行われている。

平成12年10月30日
必要経費
所得税の課税対象となる所得を計算する際に、その年の総収入金額から控除することができる経費をいう。例えば売上原価、販売費、一般管理費などのように、その収入を得る上で必要とされる支出に限られ、家計上の経費、家事関連費、所得税等特定の租税公課及び罰科金などは必要経費とは見とめられていない。なを、青色申告者の場合には、引当金(貸し倒れ引当金)及び準備金(価格変動準備金)の繰入額を一定限度額を必要経費とすることが認められている。

平成12年10月31日
分離課税
担税率を総合的にとらえ、その者に帰属する全ての所得を合算して一個の所得とし、そこから各種の控除を行った後、それに一本の累進課税を適用して課税するという総合課税制度のもとにおいて、特定の所得について他の所得と区分して特別の税率を適用し課税する方法をいう。現在、退職所得、山林所得及び土地等に係る譲渡所得については分離課税の対象とされている。また、利子所得及び配当所得については源泉分離課税制度が採用されている。税率は、退職所得、山林所得等については超過累進税率、源泉分離課税においては比例税率が適用されており、前者の場合は累進緩和の方向に作用するが、後者については所得階層によって重課とも軽課ともなる。